夜の街に居たときのことをふと思い出した

かつて芸能人もよく来る北新地のキャバクラで時給5000円(これで最低時給)で働いていた私だが、

今は時給880円で工場パート(副業転売ヤー)のオバハンである。

 

煌々と華やかなネオン、くだけて境界線の曖昧な、雑踏に紛れる心地よさや街全体のなんとなしの仲間意識など雰囲気は好きだったが、仕事は全く向いてなかった。コミュ障に出来る仕事ではないからだ。

人間が嫌いなので枕営業することもなかったし、手当てがつく同伴ならまだ頑張れるがアフターなんぞ一ミリも行きたくなかった(行ってたけど)。

当然お客さんを異性として惚れるなんてことはただの1度もなかった。

我ながらお前何しに働いてたんだとツッコミたくなるキャバ嬢だった。幸いにも客層が良かったのでトラブルになったことはなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

こんな私でも常連さんが少しだけいた。

その数少ない人の中にある会社のシャッチョさんがいた。

金払いも恰幅も良い人で、こういう店にありがちの下心ギラギラの脂っこいいやらしさは全く無く、

ディナー(老舗高級クラブ)の後スタバ(うちの店)にちょっと立ち寄った、位の感覚で店に来る。

スマートに飲んでスマートに帰る。

いつも朗らかで優しく、店の女の子に大人気の「お父さんみたいなおじさん」だった。

 

1度シャッチョさん主催のマラソン大会にかり出され、前日夜に女の子数人にリーガロイヤルのスイートを取ってくれたが、別に部屋に来る事も無く。

 

 

 

 

 

今でも何故私を指名してくれてたのかさっぱりわからない。ただいつも「もっと自信を持って」とにっこり励まされた。父娘のようで1度も口説かれたことはなかった。

 

 

 

そして現在、今も根の部分では全く自分に自信が無いです。

 

今も時折そのシャッチョさんを思い出す。

頭が薄くて太っていて、でも一緒にいるだけでほっとする本当に人間的に素敵な人だった。きっとお金の力が無くても人が寄ってくる人だと思う。

 

シャッチョさんはいちキャバ嬢の私のことなぞ記憶に無いだろうが、私はずっと覚えていて、ずっと幸せでいて欲しいと思ってる。

 

 

明日からパートだ、ミスはほんの少しだけだけ減ってるんだから、

少しだけ自信を持って働こう。