ついでに昔の思い出

旦那との初デートのことを思い出した。それはクリスマスの話だ。

 

車を運転する彼の横顔をちらりと見ると、耳の穴から耳垢の粉がふいていた。見なかったことにした。

 

「なんか石入ったかな」と彼が片靴を脱いだ瞬間、そこはかとなく洗濯物の生乾きの臭いがした。匂ってないことにした。

 

車中私が座っている座面に手を置くと、ザラザラとした謎の茶色い粉末が触れた。触っていないそんなもの。

 

次々とシックスセンスが奪われていく渦中、彼が

 

「肉食べよう」と言った。

私は完全にどこか小洒落たデート用の焼き肉店or鉄板焼き屋さんか肉バル出来るダイニングに行く気でいた。

 

車が着いた先は

 


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ステーキの○ん

画像のせいで伏せ字にする意味が全く無い

 

 

 

 

 

 

 

男性からクリスマスに、というか初デートでファミレスという扱いを受けたことが1度も無かった私はかなりのショックを受けたのである。(いや好きですよステーキ○ん)

 

 

そして、クリスマスプレゼント、といってニコニコしながら渡したもので更なる衝撃を受ける。

 

それは、イオンの雑貨店で買ったというピンクの石の数珠にゴムを通したブレスレットだった。

オシャレに目覚めたばかりの小学生が身につけるような、900円くらいで売ってるようなブレスレットである。

 

35の男がファンシーショップ(死語)で買ったゴムの数珠…!

何やアレか?パワーストーンけ?

私に数珠突っ返すパワーよこさんかい

 

 

 

 

これは巧妙に大変に大胆に物凄く練りに練られてバカにされているのだろうか?と0.5秒くらい考えた。

 

貰ったものを突っ返す勇気も無かったためお礼を言ってとりあえず数珠をつけてみせる。

 

かなり気合い入れて髪を巻きバッチリ化粧をきめ、よそゆきの格好をした女がファミレスでCHANELの時計の下に900円(仮)の数珠をつけて喜ぶ(フリ)の図。

 

 

俯瞰するとなんだか妙におかしくなってとても愉快な気分になってきたのである。

 

 

 

で、1年後結婚した。

 

 

人の幼少時の失敗談について、集まりがあるたびにそのネタで永遠に笑い話にする親戚のおばさんの如く、

2年に1度は旦那にこの話をしていじって遊んでいる。

 

この数珠はゴムが伸びてボロボロであるが、今もジュエリーケースにしまってある。