過去の退職について

パート先の男性陣は大抵私に優しい。

 

見た目が地味で仕事は出来ないがいつも一生懸命で(これは本当)控えめで(喋りたくない)けして人を悪くいわず(家でさんざん旦那に愚痴ってる)ニコニコして(るフリ)よく話をきく(フリ)からだ。勿論注意を受けるときは注意を受けるのであるが。

 

 

 

それはどこに行っても一緒だった。

しかし唯一私を攻撃し続け精神的に追い込み退職させた男がいた。

 

同じ専門学校卒業という理由(学年は8年程違い面識は無い)で、「お前を指導教育する」と謎の使命感に満ちた男だった。

 

 

 

数日に1度は呼び出され、上司でも指導役でもない者からあの時はどうだったこの時はどうだったと患者の前でネチネチと始まるのである。

「後で来て」

この言葉に毎回心拍数が上がり息が詰まった。

 

 

1度は見かねた患者が「あれはないんじゃないの?」と詰め所に言いにきたことさえあった。

その時男は「あえて皆の前で(私を)指導してるんですよ」と言った。

同僚の前ならまだわかるが、何故あえて大勢の患者(しかも精神が不安定な人達)の前なのかは今となってもわからない。

 

ある日悔しくて悔しくて隠れて泣いていたことを患者のおば様に見られ、「色々辛いこと、あるわよね」と肩をポンとされ号泣したことがあった。

私なんかより遙かに辛いはずの人に逆に慰められてどうするのだ。

 

なぜ「悔しかった」のか。

その男を心のどこかで馬鹿にしていたからだ。

 

勉強もせず留年&国試浪人、精神領域にも関わらず患者ともろくにコミュニケーションを持たず事務作業のルーチンワークが大事(確かにそれも大事だが事務員はちゃんといる)だと言い張り専門分野の研鑽を一切しない男だったからだ。

更には気性の荒い患者に対して言葉を選ばない発言をして刺激し怒りをかったとき、患者に大声を出され震えていたのを見たからだ。

 

 

何も反論せずただ謝る姿が彼を力づけたのか、日に日に態度のキツさはエスカレートしていった。

 

ミーティングで私が意見を言うと

「は?で?だから?」であったし、

 

詰め所では

「邪魔、どけ」と言われる

 

私だけ明らかにキツい態度を取っていたのは誰の目にも明らかだった。私は誰にも相談出来ず日に日に憔悴していたが、

 

よくしてくれた女の先輩が、私が知らない間に直接その男に注意し、

同僚も「私言ってこようか」と声をかけてくれ(止めた)、

勉強会で交流のあった他部署の課長が「彼はいつも君にああなの?」と怪訝な顔をされ、

 

ついには上司もその男に指導をした。

 

「俺はあいつの為に言ってるんですよ」

 

 

それが本当だとしても、

人手不足の中、男の行動により1人(正確には私より先に辞めた同僚含め2人だが)職員を失わせたのが結果だ。

患者を見ない人間が、一人一人の特性に合わせた指導など出来るはずは無い。むしろ逆効果である

 

そんな無言の訴えをもって職場を去った。

 

最後の日、男は「ごめんな」と謝った。

おそらく、ただただトロくて気が利かないうえに指導をきいてるようできいていない私が苛立たしかったのだろう。

 

最近旦那経由で(旦那は元同僚)その男が退職したことを知った。上と考え方の違いで揉めていたそうな。

まあそらそうだ、だってあの仕事ぶりなら別にこの職業である必要が無いのだもの。と冷たい気持ちでその話をきいた。

 

しかし後になって思うと、男は専門的な部分以外の仕事はミス無く確実にこなす。それは私が逆立ちしても出来ないことだ。先輩に対する気の遣い方など私も学ぶべきところはあった。

 

もう少し男の信念を理解する気持ちがあればうまくいっていたのだろうか。